近畿大学「思考の技術」(2018年度文芸学部)反省録

『科学技術をよく考える』は、本来はディスカッション教材として用いるものだが、当授業においてはリーディング&ライティングの教材とした。授業評価はシラバスにて公表通り、授業内小レポート3点×15回の45点、定期試験55点で与えており、そのほとんどが記述式である。

本授業における授業内小レポートの位置づけと評価については、応用哲学会第11回年次大会にて「是非型論題における不適切な反論をどう活かすか」として学会発表した。予稿はインターネットで公表されている。

レジュメ・授業内レポート・定期試験を通じて、教材の主張をどれだけうまく読み取れているかという問題設定に偏りがちであり、クリティカル・シンキング教材としての目標である「教科書の主張を批判的に検討する」機会が十分に取れたとは言いがたい。もっぱら授業者の方から批判点を指摘する形になり、学生に発見させる機会を奪っていたとも言える。

学会発表で得たコメント等。妥当な反論の「妥当性」をどう示すか。授業内レポートの設題として,before-after型(『学生を思考にいざなうレポート課題』p.54)は有効ではないか。政府広報ビデオから賛成・反対の立場を読み取らせる課題は良いようである。