COVID-19に伴う遠隔授業の記録として,近畿大学「思考の技術」2020年度前期(文芸学部/法学部)および関西大学「情報処理基礎演習」2020年度春学期(社会学部)の反省録を取りまとめておく。
遠隔授業
配信サービスとして『Zoom』を用いた。2020年4月の時点で,マスメディアがセキュリティリスクを盛んに報道している状況であったが,「連絡先を交換せずとも,URLを発行するだけで,クローズドな配信が可能である」メリットは大きかった。
いわゆる『Zoom爆弾』は,「参加者が勝手に画面共有する」「参加者が勝手にマイクで発言する」「参加者がコメント機能で画面を荒らす」内容であったため,参加者にそれを許さない設定を守るようにした。
私の授業は,両方に演習の要素が含まれていたため,リアルタイム配信で実施することにした。
情報処理基礎演習
授業の趣旨としては「パソコンに不慣れな学生に,大学のウェブサービスの使用法や,Wordを使った文書作成を学んでもらう」実習授業なので,そもそもZoomのような遠隔授業には不向きである。が,コロナ渦の状況では致し方なく,「なんでも質問してよい」「いつでも質問してよい」「文章で伝えられない部分では動画作成」という形で補った。また授業の性質上,私の手に余った場合はITセンターに適宜ヘルプを求めることができた。
やや気がかりなのは,授業回数が減ったことで文書作成のカリキュラムを削ってしまった点である。また次年度からはOffice2019の導入が検討されているらしいので,レジュメのかなりの部分を入れ替えねばならない可能性が高い。
思考の技術
遠隔授業ゆえのかなり深刻な問題が発生したので,それについて書き留めておく。講義録を見てもらえばわかるとおり,ブレイクアウトルームによるディスカッションを取り入れたのだが,ディスカッションに参加しない学生による実質的な不正行為が起きた。
出席の記録として,Zoom視聴履歴ではなく,「ブレイクアウトルームによるディスカッションの結果をGoogleClassroomから提出すること」と定めた。すると,ブレイクアウトルームで一切発言せず,他の学生の言ったことを書きとめて提出する学生が出た。
後期においては,乱数発生器によって,ブレイクアウトルームに振られた番号を並び替え,その順番にホスト(授業者)が一定時間巡回することを考えている。この対策が,前期授業期間中に思いつかなかったことは誠に申し訳ない。一番の解決法は,対面授業が再開されることなのだが。